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7月14日の夜
パリに着いてちょうど2週間が経過した頃、バスティーユ・デー(パリ祭)の祝日を迎えた。いつものように、午前中のフランス語のクラスを終え、午後はパリ市内の観光を楽しんでから、滞在先のフランス人ご夫妻のアパルトマンに帰宅した。

今夜は、エッフェル塔の下で、ミュージシャンのジャン・ミシェル・ジャールが、コンサートを開くことになっているから、いっしょに出かけようとのご主人の言葉で、ご夫妻と私は3人で連れ立って、イソイソと、やや暮れかかってきた頃合いの、パリの街へと繰り出して行った。



私達が到着した時には、エッフェル塔の周りには、もう夥しい数の人々が集まっていて、 タワーからかなり離れたところにしか、近づけないぐらいに、そこらへんのスペースというスペースは、人々の群で、ビッシリと埋め尽くされていたのだった。

辺りはいつの間にか暗くなり、やがて熱狂的な声援を受けて、コンサートが始まった。私の立っている場所からは、バンドの姿も動きもステージらしき形も何も見えなかったのだが、ミュージシャンたちの奏でる音楽と歌声は、街中に鳴り響くかのように体を包み、ライトアップしたエッフェル塔は、それ自体が照明のように、ピンクに緑に赤に青にと刻々と変化して、効果を盛り上げてくれた。

ライヴ・コンサートは尚も続き、いつしか気が付くと、パリの人たちも、フランスの他の町からやって来た人たちも、私のように他の諸外国から来た旅行者たちも、手を取り合い肩を抱くようにして、音楽のリズムに合わせて左右に揺れ、歌い、歓声をはり上げていた。野外で乗り合わせた、ラッシュ・アワーの、車体のない満員電車のように、押し合いへし合い… でもそれが窮屈などころか楽しくさえ思えた。

夜空には月、エッフェル塔には7色のイルミネーション、ここに集まった人々は、音楽を通して1つになった。まるで夢のような7月14日のこの夜の体験、私がパリに居合わせたことは、一体何の不思議な偶然だったのだろう。。。

# by ywirks | 2009-07-15 15:02 | 旅行
初めてのパリ行きは…
パリに行くきっかけは、ある日突然やってきた。東京でまだ大学生だった時に観に行った展示会で、モネの睡蓮に魅了されて以来、いつかフランスを訪れてみたいと思いながらも、特に具体的な案がある訳でもなく、年月を送るような日々が続いていた。

ただの観光ではなく、語学研修もできて、フランスのどこかで、人々の日々の暮らしや文化を体験することができたら、と漠然とした思いが、いつとはなしに、浮かんできては消えたりしていた。



そして、随分久しく会っていなかった友人からの連絡で、お茶をすることになったその日、会話の中で、彼女から紹介されたのが、ある大学の夏期語学研修プログラムのことだった。

最初私は、このプログラムの内容が、自分の考えているような方向に当てはまるものかどうか疑問だったのだが、資料を取り寄せてみると、何かピタッとくる感触があった。驚きながら手続きを進めるうちに、仕事も有給休暇を取ることで会社からの同意も得られ、気が付くと、パリに30日間滞在することに、全ては運んでいた。1995年の夏のことだった。



私にとって遠い先の話だと思っていたパリ行きは、こうしてある日、何の前触れもなく、事前準備もなく、呆気無い感じで実現することになった。何か信じられないような面持ちもしたけれど、物事が決まる時というのは、案外、こんな風に外側から呼びこまれるようにして、起こるものなのかもしれない。
# by ywirks | 2009-07-01 11:21 | 旅行
偶然通った道
今年の4月にパリへ旅行した時のことだった。
ノートルダム寺院からの帰り道、パンテオンを訪れることにして、
セーヌ川を渡り、モーベール広場に向かって歩き始めた。

モーベール広場にさしかかると、そこから続く細い急な上り坂が、
サント・ジュヌヴィエーヴの坂道で、ほどなくして交差する
エコール街を渡り、ドキドキと胸の高まりを覚えながら、
石畳の道を、ひたすら上りつめていった。



通りの両側に軒を並べる、ビストロやカフェで寛ぐ人々の、
微笑ましい様子を目に刻みながら、やがて視界の左側に
サン・テチエンヌ教会の美しい縦長の眺めが見え、
そこを直ぐ右に折れると、パンテオン広場の全景が開けた。

パンテオンを左側にした、広場の右側には、
サント・ジュヌヴィエーヴの図書館があり、ここで
よく勉強したという、友人の話を思い浮かべたその瞬間、

サン・テチエンヌ教会の心地よい鐘の音が響き渡り、
降り注ぐ陽射しを受けて厳かに輝く、壮大なパンテオンと、
その左背後のサン・テチエンヌ教会の光景が、
目の前に浮かび上がり、
静かな感動に包まれたのだった。



パリ滞在からサンフランシスコへ戻り、以前に買っておいた
「須賀敦子全集」の第3巻を読み始めた私は、
「図書館の記憶」と題されたエッセイの中で、偶然の光景を
再訪することになって、椅子から落ちそうなほどに、
驚いてしまったのである。

そこには、 須賀さんが学生時代、サン・テチエンヌ図書館で
よく本を読んだことや、40年振りで懐かしい場所を訪れた、
彼女が通ったパンテオン広場への道順が、エコール街から
サント・ジュヌヴィエーヴの坂道を上がるコースだったことが
書かれてあったからだ。

私はまさに、須賀さんと同じ道を辿って、
パンテオン広場の光景を仰いだことになる。


# by ywirks | 2009-06-18 15:37 | 旅行
モネの睡蓮に惹かれて
それは、東京の大学に通っていた頃の出来事だった。
いつものようにキャンパスへ入り、休講掲示板を見ると、
これから行こうとしていた講義が休講になっていた。



午後の最終時限の講義までには、戻って来ることにしても、
自由に使える時間は十分にあった。
さて何をしようかと、思いを巡らせながら、
何気なく買った情報誌で、ふと目に留った展示会。
気が付くと、私は印象派の展示会場に居た。

優しい光や、萌え立つような色合いの世界が広がったかと思うと、
私は一枚の絵の前で、感動のあまり動けなくなってしまった。
それが、クロード・モネの「睡蓮」だった。



ジヴェルニーの、モネが生前に住んだ家と庭を訪れたのは、
随分後になってからだったけれど、その池を見ているうちに、
モネの想像力や表現力の源泉に触れた思いがして、
あの日の衝撃的な感動が、再び鮮やかに蘇ってきた。。。

# by ywirks | 2009-05-18 11:04 | アート
絵になる街
何度訪れても、その度に新しい発見がある。
そこに住んでいる人たちや訪れる人たちを魅了して止まない、
パリの街はそんな魅力に溢れている。



春の気分に誘われるように、何気なく街へ出て通りを歩く。
通りに向けて、カフェテラスいっぱいに並ぶテーブルの席に座り、
そこから見える春の情景を楽しんでいる人たちが居る。
彼らの和やかな会話が弾む街角のシーン。

春のパリは、樹々の新緑がなんとも爽やかで目に優しい。
そこへお店の軒に張り出した庇やブッキニストのディスプレイの、
赤の色合いがお洒落なアクセントを作り、微笑みを誘う。



街のどこを見ても、情景の中の美しさに感性が揺り動かされる。
歩くにつれ、さまざまな光景が眼前に浮かび上がってくる。
絵になる街、パリ。

# by ywirks | 2009-05-08 10:34 | 旅行
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